現在蔵元の雇用形態は社員化され一般の社員と同様の勤務状態が多くみられますが、一昔前は杜氏をはじめとして蔵人が季節雇用として蔵元に雇われていました。蔵の食事は比較的粗末なものでしたが、酒造期間に節目節目の祝い事があり、その際は尾頭付きなど贅沢な夕膳が仕立てられていました。祝い事の代表的なものは、「酛(もと)立て(だて)」。酒母を最初に仕込む時の節目。「初槽(はつあげ)」最初の酒が搾りあがった時、「甑倒(こしきたお)し」最後の蒸し米を終了したとき、「皆造(かいぞう)」、といってすべての蔵仕事を終えていよいよ故郷に帰る前夜などに祝いを行います。